めぐるめぐらない命の夢

夢で見たその人は、私が高校生の時から知る柔らかい笑顔そのままだった。山道を上がったその先に住むその人、空っぽな山に一人で家を建ててしまうその人。

いつもお店に行くと、奥から出てきて迎えてくれる。同じ笑顔で。夏だと半袖に短パン、ビーチサンダルの組み合わせで、その立ち姿は永遠の少年みたいな、それでいて生み出す家具は素材が生き生きとしていて美しく、音楽をひとりで静かに愉しむ仙人のようでもある、不思議な人。

去年の春、突然の悲しい知らせが届いたある日。

我が家には、命の宿りを示す印が現れた。病院のエコーで見た胎芽。人間とはとても思えなかった小さな点が、10ヶ月後には2800グラムになってこの世界に放出された。夫のアイデアで、生まれた我が子にはその人のお店から想起した名をつけた。

夢でその人を見た夜、1年近く経って初めて涙が出た。そして目の前ですやすや眠る小さな身体に目を向ける。この子はあの人の生まれ変わりなんだろうか。そう思いたい気持ちと思いたくない気持ちが交差する。

命は廻るのか、それともあの人は永遠にあの人のままなのか。科学ではきっと解明されない、どこかの世界のことを考える。あの笑顔はあの人のもの。だけど同じ日に起こった奇跡に何かしらの繋がりを感じてしまう。頭の中でただただ思いが廻り、このことを書きたいと思った夜のこと。

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